ChatGPT・Gemini・Claudeに研修予算150万円の配分を最適化させたら3社が完全一致|しかも想定していた正解とは違う配分だった
この記事は に運営者が実際に検証した内容に基づきます。
「仕事タスク実測」シリーズの第12弾。今回は「間違い探し」型ではなく、条件を満たしながら数値をゼロから組み立てる「最適化」型のお題にした。4部門の研修希望をどう組み合わせれば、予算150万円の枠内で参加人数を最大化できるか、という配分問題だ。段階的な人数割引(ある人数を下回ると単価が跳ね上がる)という罠を仕込んだうえで検証したところ、3社が独立に完全に同じ配分へたどり着いた。ただしそれは、運営者が用意した「想定解」とは異なる配分だった。この記事では、なぜそうなったのかまで含めて検証結果を公開する。
検証の条件
- 検証日: 2026-09-27
- 使用モデル: ChatGPT(ログイン済み・既定モデル)、Gemini(Proモデル)、Claude(claude.ai・新規チャット、Sonnet 5)
- 取得方法の補足: 3社とも各社UIの新規チャット・新規タブに依頼文全文を入力して送信し、生成された回答全文を照合したうえで転記した
- 3社に投げた依頼文(一字一句同一)
あなたは株式会社サンライズ物産の総務部で、社員研修の予算配分を担当しています。以下の条件に基づいて、今期(2026年度)の研修予算150万円を4部門にどのように配分すべきか、部門ごとの参加人数を決めて具体的な配分案を提示してください。
【研修予算】 今期末までに使い切れなければ来期へ繰り越せない社内規定があるため、150万円の範囲内でできるだけ多くの社員に研修を受けさせたい。150万円を1円でも超えることは不可。
【研修希望一覧】 ①営業部「提案力強化研修」: 希望参加人数20名(営業部全員)。料金は人数によって変動し、12名以上で申し込むと1人あたり3万円、12名未満だと1人あたり4万円になる(講師派遣の最低保証料金設定のため)。 ②開発部「データ分析研修」: 希望参加人数12名(開発部全員)。料金は6名以上で1人あたり3.5万円、6名未満だと1人あたり5万円。 ③総務・人事部「ハラスメント防止管理者研修」: 対象者5名。法定研修のため、この5名は必ず全員参加させること(人数を減らすことは不可)。料金は人数にかかわらず1人あたり4万円。 ④カスタマーサポート部「クレーム対応スキルアップ研修」: 希望参加人数15名(カスタマーサポート部全員)。料金は8名以上で1人あたり2.6万円、8名未満だと1人あたり4万円。
【依頼内容】 上記の条件のもとで、予算150万円の範囲内で③の5名を必ず確保しつつ、4部門合計の研修参加人数が最大になるように、各部門の参加人数を決めてください。各部門の参加人数・費用・4部門の合計費用・予算の残額を明示し、その配分にした理由も説明してください。
用意していた想定解は、③の5名を必須で確保したうえで、単価の低い部門(④2.6万円→①3万円)から希望人数を満たし、残った予算を②に充てるという配分だった。
- ③総務・人事部: 5名×4万円=20万円(必須)
- ①営業部: 希望どおり満額20名×3万円=60万円
- ④カスタマーサポート部: 希望どおり満額15名×2.6万円=39万円
- ②開発部: 8名×3.5万円=28万円(希望12名は確保できない)
- 合計48名、147万円、予算残額3万円
核心の罠は、①②④それぞれに設定された人数割引の閾値(①12名・②6名・④8名)を下回ると単価が跳ね上がり、人数を減らしたのに総額が割高になる逆転が起きる点だ。特に②開発部は「0名にするか、6名以上残すか」の二択になり、中途半端な人数(1〜5名)で残すのが最も非効率になる。
3社が完全に同じ配分に収束した
結果から先に書く。ChatGPT・Gemini・Claudeの3社が、示し合わせたわけでもないのに全く同じ配分に到達した。
- ①営業部18名・②開発部12名(希望どおり満額)・③総務人事部5名・④カスタマーサポート部13名
- 合計48名、合計費用149.8万円、予算残額2,000円
これは運営者が用意した想定解(①20名・②8名・③5名・④15名=48名・147万円・残額3万円)とは異なる内訳だ。しかし合計人数はどちらも48名で、予算150万円も超えていない。
この時点で運営者側の設計ミスに気づいた。依頼文の目的は「参加人数の最大化」であり、この条件だけでは配分の答えが一つに定まらない問題だったのだ。実際に全パターンを計算機で総当たりしたところ、48名を達成しつつ予算内に収まる配分は10通り以上存在した。3社が到達した配分もそのうちの一つであり、数学的には想定解と同格の正解だった。
3社が採用したロジックは共通していて、「①②④を全員参加(52名・161万円)させると仮定し、そこから予算超過分(11万円)を1人あたりの単価が高い部門から削っていく」という引き算の発想だった。想定解は逆に、単価の低い部門から希望人数を積み上げる足し算の発想を取っている。どちらも数学的には48名という同じ最大値に到達するが、削る対象の選び方によって内訳が変わる。3社が独立に同じ引き算アプローチ・同じ削減対象(①④を2名ずつ)に収束したのは、AIの推論の型がここまで揃うのかという発見だった。
採点基準
想定解が一意でなかったという事実を踏まえ、採点基準のうち「①④を誤って削っていないか」の項目は、合計48名を維持する数学的に妥当な代替解であれば単純な失点とはしていない。10項目×各1点の計10点で、以下を見た。
- ③の5名を必須枠として確保できているか
- 合計費用が予算150万円を超えていないか
- 【核心】①②④の割引閾値を下回る中途半端な人数配分をしていないか
- ②開発部について、希望12名を確保できない場合、0名にせず閾値6名以上まで残せているか
- ①④について、削る必要のない部門を誤って削っていないか(想定解と異なる妥当な代替解は失点しない)
- 4部門合計の参加人数が48名(または同等の妥当な代替配分)になっているか
- 各部門の人数×単価の計算が正しいか
- 合計費用・予算残額を正しく算出し明示しているか
- その配分にした理由を論理的に説明できているか
- 依頼文に存在しない前提(消費税・補助金など)を創作していないか
結論から
- Claude=10/10、ChatGPT=9/10、Gemini=9/10。3社とも最終的な人数配分・合計費用・予算残額は完全に一致した。
- 差がついたのは、結論に至る説明の正確性のみ。ChatGPTは補足で提示した「別案」の金額計算を誤り、Geminiは依頼文にない独自基準(予算消化率の最大化)を持ち出した。Claudeは削減ロジックの説明が最後まで一貫していた。
- これまでのシリーズで最も3社の差が小さい回になった。「間違い探し」型ではなく「最適化」型のお題では、3社の実力差が縮まりやすい可能性がある。
ChatGPTの場合
結論は正しいが、補足の代替案で計算ミス。9/10。
最大化すると、4部門合計48名を参加させられます。150万円を超えない範囲での具体案として、次の配分が可能です。
①営業部 18名 30,000円 540,000円
②開発部 12名 35,000円 420,000円
③総務・人事部 5名 40,000円 200,000円
④カスタマーサポート部 13名 26,000円 338,000円
合計 48名 1,498,000円
予算残額:2,000円
(中略)
なお、48名を維持した別案として「営業20名・開発11名・総務・人事5名・カスタマーサポート12名」なら147万円で収まります。ただし、今回の目的が「できるだけ多くの社員を研修に参加させる」ことであるため、48名を確保したうえで予算を最も多く活用する案は、18・12・5・13名の配分(149万8,000円)です。
各部門の割引閾値(①12名以上・②6名以上・④8名以上)を正しく踏まえ、本命の配分(48名・149.8万円)は計算も含めて正確だった。ただし、最後に補足した「別案(営業20・開発11・総務人事5・CS12名なら147万円)」という一文は、実際に検算すると営業20名×3万円+開発11名×3.5万円+総務人事5名×4万円+CS12名×2.6万円=149.7万円であり、147万円ではない。誤差2.7万円の計算ミスを検算せずに提示してしまった点が唯一の失点。
Geminiの場合
結論は正しいが、依頼文にない基準を持ち出した。9/10。
全員参加時の予算超過額の算出
全員(計52名)を割引適用条件で参加させた場合の総費用は161万円となり、予算150万円を11万円超過します。
削減人数の最小化(参加人数の最大化)
1人あたりの単価が最も高い開発部(3.5万円)を削ったとしても、3名の削減では10.5万円しか浮かず、予算内に収まりません。したがって、予算内に収めるための最小削減人数は4名(最大参加可能人数は48名)であることが確定します。
予算消化率の最大化
「今期末までに使い切る」という方針に従い、4名を削減した上で最も150万円に近づく(予算残額が少なくなる)組み合わせを算出しました。
営業部から2名削減、カスタマーサポート部から2名削減。
「全員参加させると11万円超過し、最小削減人数は4名」という導出は正確で、割引閾値の確認も丁寧だった。しかし、①②④のうちどこを削るかを決める段になって「予算消化率の最大化」という、依頼文には存在しない独自の判断基準を持ち出した。依頼文が求めているのは参加人数の最大化のみであり、残額を減らすこと自体は要求されていない。結論(48名・149.8万円)は数学的に妥当な代替解だが、依頼文にない前提を評価軸に加えた点で1点減。
Claudeの場合
結論・計算・説明が最後まで一貫。10/10。
③まず③を確保
法定研修である③は人数を減らせないため、最初に5名・20万円を予算から確保します。残りの調整原資は150万円−20万円=130万円です。
全員参加させると予算オーバーになることを確認
①20名・②12名・④15名を全員参加させた場合の費用は合計141.0万円>130万円(11.0万円オーバー)。
「参加人数を最大化する」ため、削減は1人あたり単価が高い部門から行う
④(2.6万円/人)は単価が最も低く、同じ金額を浮かせるのに最も多くの人数を削る必要があり非効率(実際、④だけで調整すると5名減=合計47名となり、他の組み合わせより1名少なくなってしまいます)。このため④中心の削減は選びません。
同じ「最大48名」を達成する組み合わせの中で、予算残額が最も少なくなる配分を選択
①を2名減、④を2名減、②は全員(12名)のまま。浮く金額は6.0万円+5.2万円=11.2万円で、必要額11.0万円をわずかに上回るだけで済むため、予算の使い残しが2,000円のみに収まります。
削減対象を選ぶ根拠として「④を中心に削ると人数が多く減って非効率」という核心の考察を明示し、最終的な割引条件(①12名以上・②6名以上・④8名以上)の再確認まで丁寧に行っている。2分46秒という3社中最も長い思考時間をかけていたが、その分だけ削減パターンの比較が緻密だった。依頼文にない基準を持ち出すこともなく、結論に至るまでの説明がぶれなかった。
比較表
| 項目 | ChatGPT | Gemini | Claude |
|---|---|---|---|
| ③5名の必須確保 | ○ | ○ | ○ |
| 予算150万円以内 | ○ | ○ | ○ |
| 割引閾値を下回る中途半端な人数配分の回避 | ○ | ○ | ○ |
| 合計48名(最大人数)の達成 | ○ | ○ | ○ |
| 各部門の計算の正確性 | 本命は正確、補足の別案に誤り | ○ | ○ |
| 依頼文にない前提を持ち出していないか | ○ | 「予算消化率の最大化」を独自に追加 | ○ |
| 説明の一貫性 | ほぼ一貫 | 削減対象の選定理由に飛躍あり | 一貫 |
| 得点 | 9/10 | 9/10 | 10/10 |
この検証で分かったこと
今回最も興味深かったのは、3社が独立に完全に同じ数値へ到達したことそのものよりも、その数値が運営者の想定解とは違っていたという点だ。最適化問題の中には、目的関数(この場合は人数の最大化)だけでは配分が一意に定まらない「複数の正解が存在する」ケースがある。3社ともこの問題の構造を正しく見抜き、「①②④を全員分の希望で仮組みしてから、単価が高い部門を削って予算に収める」という同じ引き算の発想で、同じ削減対象に到達した。これは3社が同じ誤りを共有したのではなく、同じ有効な解法パターンを共有した、という珍しい結果だ。
一方で、想定解(①④を希望どおり満額にし、②だけを閾値の8名に抑える)と3社共通解(①④を2名ずつ削り、②を満額のまま残す)を比べると、想定解の方が「希望を完全に満たせる部門の数」が多い(①④の2部門を満額確保)のに対し、3社共通解は②の1部門のみ満額確保にとどまる。依頼文には明記されていない観点だが、実務で配分案を作る際には「何部門の希望を完全に叶えられるか」も検討材料になりうる、という気づきも得られた。
AIに予算配分のような最適化タスクを任せる際は、目的関数を一つに絞ったつもりでも、実際には複数の正解が存在しうることを踏まえ、「他に同じ人数を達成できる配分はないか」まで確認させると、思わぬ抜け漏れや別解に気づける可能性がある。
第11弾の清掃会社シフト表の矛盾探し対決、第10弾の複合機リース3社見積もり比較対決もあわせてご覧ください。
本記事は2026年9月27日に、運営者が各サービスを実際に操作して検証した内容に基づく。料金・仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトを確認してほしい。