ChatGPT・Gemini・Claudeに社内お知らせ文を校正させたら日本語の誤りは全社満点だった|資料配布の矛盾に気づいて直せたのはGeminiだけ
この記事は に運営者が実際に検証した内容に基づきます。
「仕事タスク実測」シリーズの第4弾。第1弾の会議要約対決、第2弾のExcel関数対決、第3弾の顧客リスト整形対決に続き、今回のお題は社内向けのお知らせ文の校正だ。校正という作業には二重の側面がある。ひとつは「誤字脱字や不自然な表現を直す」という依頼された範囲内の作業、もうひとつは「文面に書かれている内容そのものがおかしくないか」という、頼まれていない範囲の気づきだ。そこで今回は、依頼文の中に日本語表現の誤りを5つ(重複表現・二重敬語・ら抜き言葉・表記ゆれ・「役不足」の誤用)仕込むと同時に、依頼文には一切触れていない内容の矛盾を5つ(部署ごとの人数を足すと合計と合わない・開催日の曜日が実際と違う・資料を当日配ると言いながら事前確認を求めている・「下記の通り」と書きながら問い合わせ先が実際には書かれていない・発信日がなく「来月」がいつを指すか特定できない)仕込んだ。前者を「A群」、後者を「B群」と呼び、この文面をChatGPT・Gemini・Claudeの3つに一字一句同じ依頼文で投げ、10項目の採点基準で答え合わせした。
検証の条件
- 検証日: 2026-09-03
- 使用モデル: ChatGPT(ログインなしの既定モデル)、Gemini(Flash)、Claude(claude.ai・新規チャット。回答生成前に「7秒間思考」の表示あり)
- 3社に投げた依頼文(一字一句同一)
以下は社内向けのお知らせ文です。誤字脱字や不自然な表現を直して、読みやすく校正してください。
社員各位
まず最初に、来月開催の全社研修についてご連絡させていただきます。
日時: 2026年10月15日(水) 13:00〜17:00 会場: 本社3階 大会議室 参加費: 一名あたり3,000円
参加予定者は営業部12名、開発部15名、管理部6名の合計30名です。当日は資料を印刷してお配りしますので、事前に配布資料をご確認いただけますようお願い致します。
なお、当日会場でお伺いさせていただきたいことがございますので、アンケートにご協力ください。会場では無料Wi-Fiが見れますので、お手持ちの端末をご持参ください。
ご不明な点はお問合せください。なお、お問い合わせ先は下記の通りです。
今回の研修の講師には、業界で著名な山田氏をお迎えします。山田氏には役不足かもしれませんが、ぜひご参加ください。
採点基準は10項目×各1点の計10点。前半5項目(A群)は依頼文で明示的に指示した表現の誤り(重複表現・二重敬語・ら抜き言葉・表記ゆれ・「役不足」の誤用)を直せているかを判定し、後半5項目(B群)は依頼文には一切書かれていない内容面の矛盾(人数の計算・曜日・資料配布の矛盾・問い合わせ先の記載漏れ・発信日の欠如)に気づけるかで判定した。A群は指示範囲内の作業、B群は指示範囲外の気づきという位置づけだ。
結論から
- ChatGPT=7/10、Gemini=8/10、Claude=5/10。A群(表現の誤り5項目)は3社とも5/5の満点で、ここでは今回も差がつかなかった。
- 差はすべてB群(内容の矛盾5項目)に出た。Gemini=3/5、ChatGPT=2/5、Claude=0/5という序列になった。
- 2026年10月15日の曜日について、ChatGPTとGeminiはいずれも正しく「木曜日」と算出し、(水)を(木)に修正した。誤った曜日を提示するハルシネーションは発生しなかった。
- 部署ごとの人数(営業部12名・開発部15名・管理部6名)についても、ChatGPTとGeminiはともに「12+15+6=33」という検算過程を明示した上で「合計30名」を「合計33名」に修正した。
- 「資料を印刷して当日配布する」と「事前に配布資料を確認してほしい」という矛盾を実際に解消できたのはGeminiだけだった。ChatGPT・Claudeは修正後の文面にもこの矛盾をそのまま残していた。
- 「お問い合わせ先は下記の通りです」と書かれているのに実際には連絡先が書かれていないという記載漏れには、3社とも気づかなかった。ただし気づいた側のChatGPTとGeminiは、原文にない部署名・内線番号・メールアドレスを創作して穴を埋めており、気づかなかったClaudeは空欄のまま何も創作しなかった。気づきの量と、わからないことを捏造しない誠実さがトレードオフになり得ることが今回新たに見えた論点だ。
ChatGPTの場合
A群5項目はすべて正しく修正され、根拠も注記で示された。
社員各位
来月開催の全社研修について、下記のとおりご案内いたします。
日時:2026年10月15日(木)13:00~17:00
会場:本社3階 大会議室
参加費:1名あたり3,000円
参加予定者は、営業部12名、開発部15名、管理部6名の合計33名です。
当日は資料を印刷して配布いたしますので、事前に配布資料をご確認くださいますようお願いいたします。
なお、当日会場でお伺いしたい事項がございますので、事前にアンケートへのご協力をお願いいたします。
また、会場では無料Wi-Fiをご利用いただけますので、必要に応じてお手持ちの端末をご持参ください。
今回の研修では、業界で著名な山田氏を講師としてお迎えします。ご多忙のところ恐縮ですが、ぜひご参加ください。
ご不明な点がございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
お問い合わせ先
〇〇部 〇〇課
担当:〇〇
内線:XXXX
回答末尾の注記で「曜日は原文の『水』から『木』に修正しました。2026年10月15日は木曜日です」「12+15+6=33名のため、『合計30名』も33名に修正しています」と、根拠まで明記して2つの矛盾を正しく解消している。「役不足」も「ご多忙のところ恐縮ですが」に置き換え、理由も本文中で説明した。一方で「資料を印刷して配布」と「事前に配布資料をご確認」という矛盾はそのまま残り、指摘もない。さらに「お問い合わせ先は下記の通り」の記載漏れには気づかず、原文には存在しない「〇〇部 〇〇課 担当:〇〇 内線:XXXX」という具体的な連絡先情報を自ら創作して埋めていた。発信日がないことによる「来月」の曖昧さも未指摘だった。
Geminiの場合
A群5項目はすべて正しく修正され、B群も3項目で気づきを示した。ただし回答自体は生成の途中で校正案が二重に混線する不具合が見られたため、最後まで正常に完結している方の校正案を引用する。
社員各位
来月開催される全社研修について、下記の通りご案内いたします。
研修概要
日時: 2026年10月15日(木)13:00〜17:00
会場: 本社3階 大会議室
参加費: 1名あたり 3,000円
対象・人数: 営業部12名、開発部15名、管理部6名(計33名)
注意事項・お願い
講師: 業界でご活躍されている山田氏をお迎えいたします。大変貴重な機会となりますので、ぜひご参加ください。
事前準備: 研修資料は事前にメールにてお送りしますので、各自で内容をご確認の上ご参加ください。(※当日は印刷資料もお配りします)
当日の持ち物: 研修中にオンラインアンケートを実施いたします。会場では無料Wi-Fiをご利用いただけますので、ノートPCやスマートフォン等の端末をご持参ください。
ご不明な点がございましたら、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。
【お問い合わせ先】
[部署名 / 担当者名]
内線番号:XXXX / メールアドレス:xxx@example.com
回答内では「2026年10月15日は木曜日のため修正」と曜日の根拠を明示し、「各部署の合計人数(12+15+6=33名)と『合計30名』の矛盾」も明記して33名に修正した。今回3社で唯一、「資料を印刷してお配りしますので〜事前にご確認」という矛盾にも「矛盾するため」と言及した上で、研修資料は事前にメールで共有し当日は印刷資料も配るという形に整理し、実際に解消していた。一方で「お問い合わせ先は下記の通り」の記載漏れ自体には気づかず、[部署名/担当者名]やxxx@example.comといったプレースホルダーで埋めていた。原文に存在しない情報を作った点はChatGPTと同じだが、それとわかる記号で示している分、実在の情報のように見えるリスクは低い。なお「まず最初に」に加えて「ご連絡させていただきます」も重言・冗長表現として指摘しており、これは指示された5項目には含まれない自主的な追加指摘だった。発信日の欠如については、ChatGPT同様に気づいていない。
Claudeの場合
A群5項目はすべて正しく修正され、理由も「主な修正点」として明記された。
社員各位
まず、来月開催の全社研修についてご連絡いたします。
日時: 2026年10月15日(水) 13:00〜17:00
会場: 本社3階 大会議室
参加費: 一名あたり3,000円
参加予定者は営業部12名、開発部15名、管理部6名の合計30名です。当日は資料を印刷してお配りしますが、事前に配布資料をご確認いただけますようお願いいたします。
なお、当日会場にてお伺いしたいことがございますので、アンケートにご協力ください。会場では無料Wi-Fiをご利用いただけますので、お手持ちの端末をご持参ください。
ご不明な点はお問い合わせください。お問い合わせ先は下記の通りです。
今回の研修の講師には、業界で著名な山田氏をお迎えします。貴重な機会となりますので、ぜひご参加ください。
「まず最初に」→「まず」、「お伺いさせていただきたい」→「お伺いしたい」、「見れます」→「ご利用いただけます」、「お問合せ」の表記ゆれ統一、「役不足」の誤用差し替えという5点は、それぞれ理由つきで正確に修正されている。しかしB群は5項目すべてを素通りした。日時は「(水)」のまま残り、合計人数も「30名」のままで12+15+6の検算は行われていない。「資料を印刷してお配りしますが、事前に配布資料をご確認いただけますよう」という矛盾する記述もそのまま残り、指摘もない。「お問い合わせ先は下記の通りです」と書きながら実際の連絡先がないという記載漏れにも気づかなかった。ただし他の2社と違い、この空欄を埋めるために架空の部署名や内線番号を作ることはせず、原文と同じく何も書かないまま保持していた。発信日の欠如についても言及はなかった。
比較表
| 項目 | ChatGPT | Gemini | Claude |
|---|---|---|---|
| A群得点(表現の誤り5項目) | 5/5 | 5/5 | 5/5 |
| B群得点(内容の矛盾5項目) | 2/5 | 3/5 | 0/5 |
| 合計得点 | 7/10 | 8/10 | 5/10 |
| 人数の検算(12+15+6=33) | 指摘・修正 | 指摘・修正 | 見落とし |
| 曜日の誤り(10/15は本来木曜) | 指摘・修正 | 指摘・修正 | 見落とし |
| 資料配布と事前確認の矛盾 | 見落とし(残存) | 指摘・解消 | 見落とし(残存) |
| 問い合わせ先の記載漏れ | 気づかず架空の部署名・内線を創作 | 気づかずプレースホルダーで穴埋め | 気づかないが空欄のまま(捏造なし) |
| 発信日の欠如 | 見落とし | 見落とし | 見落とし |
使い分け
誤字脱字や敬語の誤りといった、依頼した範囲の校正だけを求めるなら、今回はどの3社を使っても結果は変わらない。内容面の矛盾までチェックさせたいなら、人数・曜日に加えて資料配布の矛盾まで実際に解消したGeminiが今回は一歩抜けている。ただし出力の途中で校正案が二重に混線する不具合が起きており、実務で使う際は出力全体が正常に完結しているか目視で確認したほうがいい。ChatGPTも人数と曜日のズレには気づくが、記載漏れの箇所を埋めるために架空の内線番号やメールアドレスを本物らしい形で作ってしまう点には注意が必要だ。そのまま社内に配信すると、存在しない連絡先が独り歩きしかねない。Claudeは内容面の気づきという点では今回最も精度が低かったが、わからない部分を無理に埋めずに空欄のまま返す姿勢は、少なくとも誤情報を生まないという意味で安全側だ。いずれの場合も、AIの校正結果を最終稿としてそのまま配信せず、人数・日付・矛盾・記載漏れといった内容面は人の目で必ず確認する前提で使うのが望ましい。
まとめ
誤字脱字や敬語の誤りといった「言われた通りの修正」は、今回も3社ともに完璧にこなした。差がついたのは、依頼文に書かれていない内容の矛盾に気づけるかどうかという一点だった。曜日の計算や人数の検算では、ChatGPTとGeminiがともに根拠を示しながら正確に指摘しており、この部分でのハルシネーションは見られなかった。一方で、資料配布の矛盾を実際に解消できたのはGeminiだけであり、Claudeはこの種の内容チェックを一つも拾えなかった。さらに今回新しく見えたのは、気づく力と、わからないことを捏造しない誠実さは必ずしも両立しないという点だ。気づく力が高いGeminiとChatGPTは、記載漏れの箇所を架空の情報で埋めてしまうリスクを見せた一方、気づきが乏しかったClaudeは、その代わりに何も捏造しなかった。社内向けのお知らせ文のような実務文書をAIに校正させる場合、文章表現のレベルではAIを信頼してよいが、人数・日付・矛盾・記載の有無といった内容面は、必ず人の目でもう一度確かめる価値がある。
第2弾のExcel関数対決、第3弾の顧客リスト整形対決もあわせてご覧ください。
本記事は2026年9月3日に、運営者が各サービスを実際に操作して検証した内容に基づく。料金・仕様は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトを確認してほしい。